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神威杏次 official blog

【俳優・脚本・演出家 カムイキョウジのモノローグ】主に、好きな映画の話に絡めて、神威が意味不明なことを書いているブログ。◆映画の話はネタバレご注意◆

舞台「獰猛犬」あとがき

原点回帰…「あの日」に帰っていた。

 

演劇に関わるなんて10年ぶり。そもそも長らく俳優を休業中なもので、映画も舞台も含めて現場に入るのがひさしぶりだった。

 

 

「始まりがあり、終わりがある。」…映画や演劇の世界は常にそうだ。だから、すべてのことを二の次にして、終わりに向かって爆走できる。

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掃除をするヒマもなく部屋が荒れ放題だったり、テレビなんて見るヒマも余裕もなかったり、バカじゃねぇかと思うくらい毎晩酒を飲んだり、それでボロボロになりつつ、でも、ヤリガイと気力でカラダが勝手に動く状態。そんな、俳優時代は当たり前の日常だった状況が、今となっては懐かしい体験だった。

 

そんな世界で、20代前半の若い役者たちと接するのも楽しかった。彼らといると、22歳で劇団を結成して自主公演を繰り返していた頃がフラッシュバックして、つい童心に帰る。

 

そして、再演の場合は、どうしても初演と比較する声もあがるが、僕としては「初演とどっちが良い。どっちがどう。」なんて見方は間違っていて、つながった「ひとつの作品」に過ぎないと思っている。点と点がつながって一本の線になっただけ。延長線上にある同じ作品。あの「獰猛犬」が、10年の時を経てようやく完成した。そう想えることが嬉しい。

 

関係者も、観に来てくださった方々、気にかけてくださった方々も。

みんな、本当にありがとう。そして、明日からまたそれぞれの場所で頑張ろう。

 

いつかまた「あの日に」帰ろう。

 

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以下、長くなりますが「あとがき」的なことをここに…。

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「神威さん『獰猛犬』やりましょ。」

 

プロデューサー・シゲ(重井貢治)からのオファーに、まずは脚本の大幅改訂作業に入った。「どうせやるなら新しい獰猛犬を」。10年前の初演終了後に「こうすればよかった」と感じていた部分をガラッと書き換えて、ほぼ新作に近い2014年版脚本ができあがった。

 

当初は、脚本だけ渡して後は任そうかとも思っていたが、書いてみるとやはり欲が出る。承諾の条件は「セットを2階建てにしてくれること。」と「脚本だけでなく、監修で関わらせて欲しい。」の2つ。

 

通常、脚本家というものは、脚本を渡した段階で仕事は終わり。あとは監督なり演出に任せて、煮るなり焼くなりお好きにどうぞ、が普通なのだろうが、この作品に関してはそれは無理だった。僕も含めた当時のメンバーにとって、特に思い入れのある作品だったから。

 

とはいえ、再演?思い入れ?…そんなもの、今回集まったメンバーには関係のない話だ。どうすればより面白くなるか、創る人間にとってはそれだけが問題だからだ。

 

それでも、演出の髙坂雄貴氏は、僕のその意向を充分に尊重してくれて、初演のエッセンスを残しながら「新しい獰猛犬」を一緒に創りあげてくれた。感謝!

そのため、自分で演出をしなかった、他の人に任せたことによるマイナスは、今回に限っては、ほぼなかった。

 

ディスカッションを重ねながら、さらに脚本を改訂していく。

稽古では髙坂氏が、俳優の特性を見ながら新しい要素を加えていく。

 

キャスティングの動向、集まった俳優陣の顔ぶれ…からも改訂が必要になる。今回から登場したチャーリー」という役柄など、居酒屋で「ひとり増やそう」と決まって10分くらいうちあわせ、その日の深夜に自宅作業15分、次の日には改訂版をキャストに配っていた。テキトーにもほどがある(笑)。同じく今回からのキャラ「ジュン」も、演じた環みほさんのスケジュールが合わなかったら、決定稿から消えていた役だ。

 

舞台はナマモノ…同じ脚本でも、集まったメンバーによってまったく違うニュアンスにもなる。まさに全員で創っていく。それがまさに舞台の醍醐味、面白さ。

 

そこに参加せずに、そこで一緒に戦わずして、脚本を渡しただけで「自分の作品でござい。」なんて言えない。だから、ガッツリ関わらせてもらった。作品によっては「僕は原作者、あとは好きに作って。」という立ち位置も、それはそれでアリだとは思うけども…。

 

そんなことで、その間、個人的にもいろいろ大変だったけども、関係者全員の力で「獰猛犬2014」は出来上がった。まさに全員の「合作」なのだ。作者や演出家のみならず、俳優陣にもその誇りを持ってほしい。

 

また10年後に会いましょう。「獰猛犬2024」で。