神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

失うということ

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督がオスカーを取った。これは嬉しい。

この監督、僕は間違いなく五本指に入る好きな監督で、「21グラム」は真っ先にお奨め映画だし「バベル」も大好物。

僕が好きなくらいだから、ダークでシリアスな作風なのだけど、そんな作風の監督がオスカー…というのに少し驚き。

新作「バードマン」はシリアスを抑えたブラックコメディだと云うから、きっとカンヌよりはオスカー寄りの作品なのだろう。世界を相手に映画を作っていたら、たまにアメリカにすり寄ってみたくなるのかも知れない。「その気になればこんなのも作れるよ」とばかり。
これも大好きなエドワード・ノートンナオミ・ワッツが出るというだけでも早く観たい。

そして、イニャリトゥ監督は息子を失くしているらしく、ある映画のコメントでこんな言葉を…。

「人は失ったもので形成される。人生は失うことの連続だ。失うことでなりたかった自分になるのではなく、本当の自分になれるのだ。」

この言葉には、もう身震いする。


「人生ってなに?」と聞かれたら「失うこと」と云う答えは間違っていない。

なにかを失うことは避けられない。獲得と喪失の繰り返し。それが当たり前だから。