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神威杏次 official blog

【俳優・脚本・演出家 カムイキョウジのモノローグ】主に、好きな映画の話に絡めて、神威が意味不明なことを書いているブログ。◆映画の話はネタバレご注意◆

ブラック・スネーク・モーン

魅力を作り出すのは……意外性。

半裸の娘が鎖でつながれているポスター

「セックス依存症の娘を、オヤジが鎖で繋いで監禁する映画」と聞くと、普通、ドンパチ殺しあうハードボイルドか、SMチックなマニア映画かと思うけど、ところが全然、中身はハートウォーミングな傑作。



「ブラック・スネーク・モーン」
(原題:Black Snake Moan 2006)

ほぼずっと半裸のクリスティーナ・リッチ
「バッファロー66」「モンスター」では、ちょっとポッチャリさんだったけども、
この映画では減量したのかスッキリなボディ。相変わらずの鋭い眼光と、かっとんだアバズレぶりがカッコいい。

サミュエル・L・ジャクソンが、最愛の妻に去られ、コツコツと積み上げてきた幸せが粉々に割れてしまった中年男をカッコよく演じている。

心に傷を持つ人間たちの再生の物語。

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◆あらすじ

幼少期に受けた虐待のトラウマと、最愛の彼氏の病気(パニック障害)に疲れたレイ(クリスティーナ・リッチ)は、セックス依存症になってしまっていた。

日々、パーティで男を漁り、周囲から「誰とでもすぐ寝る女」と思われている。ある日、車の中でズボンをおろして迫ってくる男に「あんたのちんこ、黒人の半分ね」 と、言ってはいけないことを言ってしまい、逆上した男に顔面をグーでボコボコにされ、 下着姿のままで路上に捨てられてしまう。

ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)は、元・ブルースミュージシャン。
今は引退して南部の片田舎で農夫をしている。過去に結婚はしていたが、妻は、彼の弟と関係をもった挙句、家を出て行ってしまっていた。

心に痛みを抱えながら孤独な暮らしをしていたラザラスだが、ある朝、いきなり、半裸で顔面血だらけの娘が道端に落ちていたもんだからビックリ。

「さて、どうしたものか?」と思案した結果、そのまま自宅に連れて帰り、逃げないように、ぶっとい鎖でつないで室内に監禁する。

太っ

目を覚ましたレイは、暴れて逃げようとするが無駄。レイの「カラダが欲しいんでしょ?好きにしていいから逃がして」の言葉にも、ラザラスは「自暴自棄になるな。自分を大切にしろ」などと説教をする。

ラザラスは、レイの心の傷を知り、治療しようとしていた。

= = =
いろいろあって…

やがて鎖は外されるが、レイはもう逃げようとしない。


すっかりなついちゃった

傷を負って人生を捨てかけていた娘が、本気で想ってくれる人に出会い、本来の素直さを取り戻す。

そして、合わせ鏡のように、中年男も生きる希望を掴む。

物語は、彼らがそれぞれに立ち直り、前向きに生きていこうとするところで終わる。

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「鎖」がなにを表しているかと考えてて…わかりました。

「親子のあるべき姿」の比喩だ。

本気で相手のことを想うからこそ、どう思われようと、鎖で繋いででも正しい道を教える。道を外さないように一緒に戦う。

これは、親の姿そのものですね。

お互いが、親からの虐待や、弟に妻を寝とられた過去、等、あえて、ひどい家族を描いておいて、それによって孤独になった二人がまずある。

そこに相対させて、赤の他人であるラザラスとレイの心のつながりを描き、本来の素直さを取り戻す姿を見せる。

これは、逆説的に「親子愛」を描きたいのだと思います。

ラストシーンで、パニック障害を発症して苦しがる彼氏を抱きしめて「大丈夫!わたしがいるからもう大丈夫。」と語りかけるレイの、愛する人の宿命を自分のものとして受け止めて一緒に生きていこうとする決意、あるがままを受け入れる姿…これも親子愛を連想させます。

そして、親子に限らず…
本気で想ってくれる人がいれば、人は立ち直れる。ということ。

ベタだけども…ベタなことをあえて逆説で描いているところが良い。
センスが良い!

超・意外性の中で、普遍的なテーマを描いた良作。

僕が生涯で好きな映画、10本指のうちの1本