神威杏次 official blog

【俳優・脚本・演出家 カムイキョウジのモノローグ】主に、好きな映画の話に絡めて、神威が意味不明なことを書いているブログ。◆映画の話はネタバレご注意◆

悪人

数年前に話題になった映画ですが、僕は初見でした。

 

「悪人」2010

 

妻夫木聡さん、柄本明さん、樹木希林さん、満島ひかりさん、深津絵里さん…の表情のお芝居で、各三回ずつ泣きました。みなさん、表情が素晴らしいです。

 

特に、柄本明さんと樹木希林さんの表情は、セリフなんて言わなくても百の言葉を語っているような、あの表情は完全に反則技です。

 

生きてきた凄み…「物凄いものを観せてもらった。」感があります。

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予告編にも出てくる柄本さんのセリフが響きます。

「あんた、大切な人はおるね? その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人は…」から始まるセリフ。

本編では、その前後も凄いセリフを言ってます。凄い…というのは脚本的に、良くそんなストレートなセリフを剛速球で投げたな…という意味の凄さです。ドシッ!と響きます。

 

そこからラストシーンまでの約20分…、もう、ずっと号泣ポイントです。物凄い畳みかけです。泣きっ放し。

 

サスペンスの形態にはなっていますが、純粋なラブ・ストーリーです。親子愛も含めて。

 

深津絵里さんのキャラは、長い間、地味で彼氏もなく、小学生からずっと同じ地域で閉鎖的に生きてきた非常に寂しい女…という設定。それが、出会い系サイトで知り合った人殺しと恋に落ちると。

 

彼女の妹が忠告する通り、普通にみれば「本気なわけないじゃん」な状況なんだけど、それでもその短い日々でも、彼女は間違いなく「大切な人と出会えていた」こと。いや、短いからこそ、そう思えて、そう思えたまま終わりを迎えたこと。そして、結果的にどんな結末になろうとも、彼女にとって、それは、かけがえのない経験であろうこと。

「誰かを愛すること」

「誰かに愛されること」

 

それだけで、僕は「良かったね…。」と思えます。ハッピーエンド…とまでは言わないですが。

 

そして「問題の」あのシーンですが、いくつかの解釈ができますが、僕は素直に、男側の自己犠牲だと捉えたいです。その後「彼女に向かって手を伸ばした」ことから見ても。

 

小説が原作で(僕は読んでいないですが)ネットのレビューによると「上下巻ある長編」で、映画は内容が薄くなっている部分がある…らしいです。

が、映画なので、、

必要以上に描き過ぎない、語り過ぎない、くらいでちょうど良いと思います、きっと。

 

「物凄いお芝居」を観たい人、まだ未見なら、ぜひ観てください。