神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

ノーガードの殴り合い~マウントポジションの先にあるもの~

天性の戦闘力を感じる。

 マウントポジションを取った相手の顔面、それも鼻っ柱を狙って、ここぞとばかりに拳を叩き落す姿は、とても「弱者の悲痛な訴え」には見えない。

 マウントを取ってからの戦い方で、人間性や度量がわかる。彼女の中に、マウンティングから顔面を狙わず腕関節を決めにいくという選択肢は皆無のようだ。今回の相手が情状酌量の余地なき悪であったから、それで良いのだと思う、今回は。

 #MeToo運動にまったく異論はない。セクハラ・パワハラについて語りたいわけでもない。ただ、一連の騒動の発信元であるカリスマブロガー「はあちゅう」さんが、いろんな意味で「凄い!」というお話。


 「なんの話?」という方は、ブログの最後に騒動の流れをまとめました。(※1)

 この流れの中で、僕が「凄いな~」と思ったのは、炎上の元となるコメントの稚拙さと無防備さ。

 セクハラを告発した本人が、舌の根も乾かかぬうちに(同じ日に!)過去に自分が発したセクハラ発言を指摘され「あれは、愛を込めて言ったこと。」「下ネタとセクハラは違う」「明るく楽しく笑えるものが自粛になるのは嫌だなー」などと云う無防備な発言をするなんて、普通に考えたら有り得ない。当然「それって、まるっきりセクハラ加害者の言い分じゃん」となって炎上したようです。

 頭の良さと頭の悪さが、ものすごいバランスで共存しているような印象。ある意味で「天才」なのでしょう。

 はあちゅうさんは間違いなく嫌われている。主に恋愛や異性に関する考え方や発言が、童貞や非モテ男という「恋愛弱者」をバカにする内容であることや、常に他人を見下してマウンティングしようとする姿勢が、世間から嫌われる原因。そこに異論もない。
 
 ただ、そんなことやこんなことはさておき、

 彼女の、常に誰かと「ノーガードで殴り合ってる。」感じが凄い。皮肉でも称賛でもなく「ノーガードで」という部分が凄い。

 普通なら…、

 なにかしらの騒動の渦中にいる人は、危機管理アドバイザーや弁護士に相談しつつ、「自分に不利なことは言わなくていい」「証拠のない事は認めなくていい」というルールと「推定無罪の原則」を盾に、例えば不倫騒動であれば「ホテルに入ってマッサージしていました。」なんて不自然な発言が世に出てくるはずなんです。

 それはいわば「ガードポジション」。

 「致命傷は負わない、そのかわり攻撃もできない。」状態ですね。ガードの上からボコボコに殴られはするけども、確固たる証拠を出されない限り、急所である鼻っ柱はガードできるのです。裁判官の心象は落ちますが。

 それが、いつのまにか蔓延した「私刑制度」に於ける被告側の自己防衛術。そんな、まるで裁判所のような世の中にヘキエキしているところで…、

 ご本人がどう思っているかは知りませんが、そうするのが当然のように、常に誰かとボッコボコに殴り合ってる感じは、痛快ですらある。高山VSドン・フライ。

 凄いと、素直に思います。

 マウンティングし続けた先に何があるか…は、ご本人のみ辿り着く場所でしょう。いつか、彼女がどんな場所に辿り着くか、興味はあります。

 

(※1)
①12月17日。3日後の12月20日に自著本の発売日を控えた女性の作家H氏が、大手広告代理店在籍時代に上司K氏から受けたセクハラ・パワハラを告発。②#MeToo運動の流れから世間が敏感に反応。③ギブアップしたK氏は翌日に謝罪文と自分の会社の取締役辞任を発表。④しかし、今度は、H氏の過去の行動や発言を「セクハラだ」と主張する流れが出てくる。⑤それを受けてH氏がTwitterで反論するが、その内容が、まるっきりセクハラ加害者の論理と同じだったため炎上。⑥H氏を擁護する側は「被害者叩き」問題として、再び世論を味方につけようとするが…。⑦結局のところ、H氏の問題とK氏の問題は別だと認識され「どちらもセクハラ」という結論に。⑦ギブアップしたH氏は翌日謝罪。⑧いずれにしろ、20日発売の彼女の自著本の大々的な宣伝になったことだけは間違いない。

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