「デトロイトメタルシティ」なる漫画が流行っている。
この漫画…、決して単純なギャグ漫画ではない。
物事の、世間の…かなり本質的な部分を極端な設定の中でわかりやすく伝えているから、だから「面白い」と感じる。
映画も漫画も同じ。
テーマが「本物」ならば、後は表現方法を選択するだけ。それで充分なんだろう。
この漫画の勝因は、
「やりたい事」と「できる事」、「好きな事」と「求められる事」、両者間にある、ハッキリした性質の違い、を面白おかしく描いていること。これに尽きる。
中高生の時 KISS から「プロとはなんぞや」を学んだ。
彼らより演奏が上手いミュージシャンは山ほどいる。彼らより良い曲を作るライターも腐るほどいる。にも関わらず、彼らが全米トップを取れたのは、言うまでもなく、歌舞伎調の白塗りメイクと様々なギミック、それらを武器に、世間に「本質」を叩きつけたからだ。
KISSは、一時期、メイクを落として素顔になった。
気持ちはわかる気がする。毎日のように、白塗りメイクをしなければいけない。どんな地方のステージでも、お馴染みのギミックを全力で演じないと客が納得してくれない。
そりゃ飽きるし、嫌になるだろう。メンバー間でも意見は分かれるだろうし、喧嘩別れがあってもおかしくない。
結果、KISSはKISSでなくなり、その辺にゴロゴロいる単なるヘビーメタルバンドに成り下がってしまった。そして数年後、また、昔のメイクを施し、オリジナルメンバーに戻って活動を再開することになる。
これは想像だけど、
きっとその時、KISSのメンバーは、昔は当たり前な日常に過ぎなかった事が、いかに恵まれていたかとか、「求められる」ことの有り難さを感じていたのではないか…知らんけど。)…いや、ここはぜひ、そう感じていてくれないと、このブログが成立しない。
人間は愚かだ。
他人のことは手にとるようにわかるくせに、自分のことになると、ほとんどわからない。得ているものは、それが、他人が羨むほどのモノであっても、もはや当たり前と感じるだけで、幸せを感じる事は難しい。むしろ苦痛に感じたりもする。
得ていないものに関してだけ敏感で、無用な不幸せ感だけが募る。
でもまぁ、それでいいんだろう。
得ているモノを捨ててでも、違う可能性に賭ける。
…それで後悔する人がまぁ多いのも確かだけど…、
やってみなけりゃ気が済まない…それが人間だから。