いや、確かに、脚本をしっかり読んでなかった僕が悪いです。
でも、これはちょっと‥脚本の書き方がわかりにく過ぎるんじゃね?
‥‥
今回ほど、自分の役柄を明確に勘違いしたまま衣装あわせに臨んだのはさすがに初めて。‥という話。
某・深夜ドラマの撮影に入るところなんですが、当初「警備員の役」と聞いてたんです。役名も、名前のない「警備員」。
で、台本もらってまずサッと目を通したら、最初のほうのシーンで、盗みに入られた家の捜査で、豪邸の「警備員」が警察の事情聴取を受けている。
それだけの短いワンシーン。
以下、警備員、という文字は台本の中に一切出てこない。
「あ、これだけか。」
マネージャーから聞いてた話も「出番は少しだけど、カムイさんのキャラクターが欲しいらしい。」と。
これは、僕の場合‥特にテレビドラマの場合は時々あるパターンでいわゆる「キャラ売り」仕事。そう思ってたんです。脚本もらってからすぐに衣装合わせだったこともあり、クランクインまでに、脚本は後でゆっくりと読もう、と。
で、本日の衣装あわせ。
まぁどうせ、自分の出番は(その後の)ストーリーの流れに関係ないワンシーンだから、現時点ですべてを把握している必要もないし、と。そしたら、衣装あわせが始まるなり、監督が
「えっと‥○○(主人公)とナイフで格闘するシーンありますよね?」
「‥(え?)‥あ‥はい、ありますねぇ(汗)。」
「あそこで使うナイフなんですが‥。」
「‥‥‥。」
「で、最後の、警察に捕まるところはですねぇ‥。」
「‥‥‥‥。」
ほとんど記憶にないシーンのうちあわせが順調に進む。5分で終わると思っていた衣装あわせが1時間に及ぶ。その間
「それはきっと、こんな感じのシーンに違いない」
という「勘」だけで受け答えをする器用なオレ。
終わって、マネージャーと外に出るなり
「え?おれ犯人?」
「そ‥そうみたいねぇ。」
ウチのとぼけたマネージャーが
「そういえば、諏訪さん(同じ事務所の俳優で今回もご一緒させてもらう諏訪太郎さん)が『カムイ、犯人なんじゃない?』って言ってたよ。」と。
いや、脚本をちゃんと読んだ諏訪さんにして「なんじゃない?」なんですよ。
すぐに脚本を読みなおすと
途中に「謎の男」という役が出てきて、いろいろ悪いことをしています。
最後に「犯人」という役名が出てきて、主役と格闘して警察に捕まります。
‥それらは、なんとなくは記憶にあった。
でもでも‥その二つの役名がまさか自分だとは、まったく思ってなかった!確かに「謎の男」という役名は他の作品で過去に5回くらいやったけども。「怪しい男」も十八番だけども。
普通は(途中、ずっとつけている)覆面を脱がされて正体がばれたときに「それは、○○家の警備員だった。」的なト書きがあるもんなんですよ。その一行だけでもあれば絶対に気づいたんですが、それがなかったから。
最初にサッと読んだ時に、その後の脚本中に「警備員」という文字が一切でてこないことを確認した段階でそう思ってしまったわけです。それ以前に、少し親切な脚本なら、こういう場合、キャスト表のところに「警備員」だけじゃなくて「警備員・謎の男・犯人」と表記してあったりもする。
唯一、覆面を脱いだ時に「やっぱり。あんたみたいなガタイの人はそういないからね。」という主役のセリフが一行あるから、もちろん、ちゃんと読めば、作品中に他にデカいキャラクターは出てこないから、それはイコールあの、最初にチラッと出てきた警備員?と気づくことはできる。
でも、そのセリフがなかったら絶対にわからない。
結局、すべては脚本をきちんと考えて読まなかった僕が悪いって話ですが。。
‥‥それにしてもビックリした。
この仕事もいい加減長いけど、さすがにこんなの初めて。
でも話のネタになったからいいや。
というわけで、やたら出番があるわりに顔がちゃんと写るのは最初と最後だけ、という微妙な仕事ではあるけど。
ま、どうせなら楽しんでやってきます。