神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

壮絶に生きるということ。生きるという壮絶なこと。

 

ひさびさに妙なシンクロニティを感じ、不思議な気分にさせてくれた映画、

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「ライフ・オブ・パイ」(劇場公開中)

 

「ん?これって…俺が最近、考えてることに似てる。」という感覚。偶然の一致なのか、なにかの因縁なのか、こういうことはたま~にある。

 

この映画の情報を軽く読んだのは映画をみた前日、その数日前に書いた当ブログ、前回の記事。もちろん映画を観る前に書いたブログ内容が、俺のこの映画の感想としても成立してない??ってくらいの一致さ。ちょっと自分の中で驚いた。

 

救命ボートに残された人間と動物たち…ノアの方舟を連想させるファンタジックな設定に、おそらく哲学的なテーマであろうとの想像はつく。

 

人間が生きていくために必要なもの…最も大事なひとつを挙げるとすれば「本能」だ。「絶対に生きる。生きぬく。」生存本能に他ならない。

 

かたや「人間が人間である所以」これは理性。

 

生きるということは「本能と理性の共存戦争」である。

共存する必要がある、しかし、戦う必要もある。

両者のバランスが大きく崩れたときに、人間は崩壊する。

 

主人公・パイ=理性、虎=本能。単純にそう思って、この映画を見進めても、それはそれで成立する。自分が活きるためには、相手も活かす必要がある。そんな関係性として観ても、普通に面白い。

 

暗い海で戦うパイの姿に勇気をもらい、もし、そのまま終わっても「良い映画だった。」となる。

 

ところが、最後に…まったく違う解釈に引きづり込まれるところがこの映画の凄いところ。最初から、勘の良い人なら気づく伏線はありまくり、それが結末に向かうにつれ、ん?なんかおかしいぞ…と、なってきます。

 

パイ=理性、虎=本能、俺の見立ては大筋では合っていた。しかし、虎=「パイ自身の本能」と来たから、ひっくり返った。

 

そこからの感想は、前回のブログで書いたことに近い。

 

真実なんて…実はさほど重要ではない。

真実よりも大事ななにかがある。

 

それにしても、映画を観た後にあらためてポスターを見たら、その秀逸な作りに感服した。このポスターの構図、キャッチコピー…ポスターの中に、映画の「答え」が示唆してあるじゃないか。

 

パイと虎との位置関係。

「なぜ少年は生きることができたのか?」とのコピー。

映画を観る前と後で、まったく違った意味に聞こえる。

この「謎かけ」は凄すぎる。作った人すごい。

 

好きな人は大好き、

嫌いな人にしたら面白くもなんともない映画、となるのかな?哲学的な事を考えるのが好きな人なら、絶対にハマる。

 

おまけ的に3D駆使の映像も幻想的でめっちゃキレイですよ。