東京のいくつかの駅が地下化した。
東横線・渋谷駅、小田急線・下北沢駅、世田谷代田駅。それも半端な地下じゃない、地下5階。世田谷代田駅の階段など、もう笑っちゃうくらい凄い。
どんだけ地下に潜るんや、と。
先日、渋谷駅の地下から群衆に紛れて地上を目指している時、ある漫画を思い出した。
「東京の青い空」
雑誌掲載された1977年…中学生の時に読んで感動して以来、ずっと頭を離れなかった、コンタロウ先生の名作。
ネットで検索すると、同様に「名作!」と絶賛している声もチラホラ。俺以外にも、これ覚えてる人がいるっ♪
【物語は、2112年の東京。第三次世界大戦後、地上は放射能で汚染され人類は地下都市での生活を余儀なくされていた。空も、太陽も見えない地下での暮らしに、人々の心は荒み、悲惨な事件が多発。このままでは人類は自滅してしまう。そんな時、孤児院から3人の子供が失踪。そのうち一人は白血病の少女。ベッドの傍らには、少女がいつも読んでいた古い書籍「東京の青い空」。少女に恋焦がれる男の子2人は、少女に東京の青い空を一目見せるために、危険を顧みず、荒廃し侵入禁止区域となっている地上に向かったのだ。美談に世間が涙した。少年たちの行動が、荒んでいた世の中に感動を与えた。しかし…捜査にあたった水野刑事は、美談の裏になにかが潜んでいることを察する。禁止区域とされ、大人でも簡単に行けない地上に子供3人だけで行けるものなのか。やがてあきらかになる衝撃の事実。そして、少女たちにある奇跡が起こる。地上で3人が見たのは、青い空ではなく……。】
…と、こんな感じのストーリー。
いやはや、とても少年漫画のクオリティではない。
しかも35年前だ。すごい。
空の見えない、太陽のない、渋谷の地下で…息苦しさを我慢しながら地上に向かっている時、まるで地下シェルターにいるような錯覚を覚えた。そして、35年前に読んだこの漫画のシーンが鮮明に蘇ってきた。
さらに後から知ったのは、世田谷代田駅の異常に長い階段、地下には何故か広いスペースがあるという。ますますシェルターみたいじゃん、と。
近い将来、地上が汚染され、こんな環境で過ごすことに?
「東京の青い空」の設定が現実味を帯びた気がして、かなりゾッとした。
なぜかシーンやセリフをかなりの部分まで覚えている。俺にとって、それほど衝撃的な、脳に焼きついた漫画だった。
僕らは、この青い空をいつまで見ることができるのだろう。