神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

頑張りすぎな擬態と、花が綺麗で良い匂いがする理由

ただ、ただ生きるため。

 捕食者から逃れるため、あるいは捕食しやすくするための「擬態」。

海底で藻(も)と同じガラになってる魚、

木の葉にそっくりな虫、

 みんな必死に、ものすごく必死にギタイしているんだけど、そもそも種の保存と繁栄のためとか言いつつ、元々がどんな形の種なのかわからんくらい擬態しちゃったら、種の保存になってないんじゃなかろうか。

 

ちょっと頑張りすぎ

 見た目、完全に藻になっちゃってる魚、ずっとアリのふりをして生きているクモ(で、仲間だと思って寄って来たアリを捕まえるんだと)。

 もはや完全に違うもんになっとるやん。

<広告>

 

そのクモは、ずっとアリの恰好をして生き続けて、それでいいのか?と。

 お前はクモじゃないのか?と。

 それでも、なにより生き続けることに全力を注いでいる。生存本能。

 

虎の模様にも、しっかり「生きるための」意味がある。

そういえば、僕ら人間も、生きるために擬態し続けているようなもの。

子供のときの夢なんていつしか忘れていて、その時々に居る場所で、捕食に都合のよい色・形になろうと頑張っている。

ふと、あれ?こんな形になりたかったんだっけ?と思ったりしながらも、なにより、まずは生きること。それ大事。

 同じだ。

ただ、ただ生きるため。

===

ところで、花が美しくて良い香りがするのはなぜか?

 その甘い香りで虫を引き寄せて実を食べてもらい、受粉や種子散布を手伝ってもらうため。そのとき、虫は「わ~綺麗~♪」と思って花に近づくのではなく、派手な色をした花は甘い。栄養を持っているに違いないという知識と勘で近づく。

 

 このとき、彼らの世界に「綺麗な花」は存在しない。

 「派手な色をした花に近づくと良いことがある」という情報があるだけ。

ただ、動機はさておき、結果的に「頑張って綺麗になってる」のは確かだし、お互いになにかを享受しあってるのだから、それでよいのだろう。

 そういえば、

僕ら人間も、花と似たような動機で着飾る。虫と似たような動機で行動する。

 同じ。

ただ、ただ生きるため。

===

どうしてみんな、そこまでして必死に生きるのか?

 それも、野生の動物や植物の生態にヒントがある。

 そこまで必死に「生」に執着して、生き抜いた先にあるものは「自己犠牲」。

 植物も、動物も、人間も…、

 家族のためなら…きっと死ねる。

愛する者のためなら…きっと死ねる。

 

生きる目的は、生きた意味は、そこで成就する。

誰かを、なにかを守るため。

そうすれば、いつか死ねる。

そこでやっとサラバイだ。