みんなに「かわいそう」と思われる状況って、意外に幸せなのです。
だってそれは「痛みを理解してくれる人がいる」ということだから。
「なんだよ、たいして酷い状況でもないやん」「それくらいで何を落ち込んでるの」「充分に幸せじゃん」…なんて言われつつ、実は本人は辛くて辛くて堪らない…そんな状況が一番キツイのだと思います。
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とはいえ、そんな状況、周りが困ります。
心配して声をかけるほうは「ダイジョブだよ。」「心配ないよ。」と励ますしかないし、そう言ったら「わかったようなこと言わないで。」「私は苦しいの。」なんてモードに入られても、「そっか、なら何も言えないや。」となってしまう。
そんな状況において「言葉」なんて本当に無力で…無力を通り越して邪魔でしかなくて…。
対象が彼氏・彼女や夫婦であれば、幸い、男と女には、言葉以上にわかりあえる他の言語があるのだけど。
もはや「黙って寄り添う」…とか、言葉じゃなくて態度で気持ちをあらわすのが最善の方法になる。
そもそも…「話せばわかる」なんて言いますが、僕は「話せばわかる」を信じていません。むしろ「話せば話すほどわかりあえない」くらいに思っています。
「会えばわかる」が正しい。
男でも女でも、面と向かって、お互いに眼を見ながら、酒を飲むなりなんなり…が、最良のわかりあう方法になる。仮に何もしゃべらなくたって。
この映画…男同士ながら「黙って肩を抱く。」「黙って傍にいる」というシーンが多い。それは「それ以外に方法がない」励ましの意志表示。そのあたりがクールにリアル。
さほど絶賛の映画でもないですが、冒頭に書いたようなことを再認識させてくれました。
『42~世界を変えた男~』
2013年 アメリカ
史実に基づいた、黒人初のメジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソンの誕生を描いた野球映画。
ハリソン・フォードがイイ役で、ジャッキーを励ますために聖書の引用や名言っぽいことをたくさん言うのです。それはそれで心に刺さる言葉はあるのです。
ただ、彼を本当に励ましたのは、黙って肩を抱いたチームメイトだったのかもしれません。そんな映画。
映画の詳細はこっちで書きますた↓
人種差別系の物語の本質は、僕ら日本人には本当にわからないのかも知れない。
そんな環境とは無縁で育ち、理屈ではわかっても実のところはどれほど理解しているかもわからない、そんな自分の感性が憎たらしい…。
梓みちよでも聞いとけ。