神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

軽くゾ~ッとしたお話

 先日、背筋が寒くなる出来事があった。

 時間は19時すぎの帰宅ラッシュ時。某線・某駅で人身事故が発生。

 僕が駅に入った5分ほど前の出来事らしく「当駅で人身事故が…」のアナウンスが怖い。いろんなことを注意しながらホームに上がると、当該電車がホームの3分の2ほど入ったところで止まっていて、駅員さんや警察の人が慌ただしく走り回っている。運転再開まで一時間ほどかかるとの案内。

 そこで僕が気になったのは、その電車に乗っている人たち。

 帰宅ラッシュの満員電車。あらかたの車両はホームまで到着しているにも関わらず扉は閉まったまま「安全確保のため」降ろしてもらえないらしい。もし自分が乗っていたら…と思ったらゾっとした。一時間以上、立ちっぱなしで満員の電車に閉じ込められ、トイレにもいけず、おそらく具合の悪くなる人も出てくるのではないか。誰かと誰かがケンカでも始めた日にゃ最悪。それ以前に、知らない人たちと至近距離でくっついたまま、一時間? 
 
 プロが長年の経験から打ち出した安全のためのルールなのでしょうし、それはきっと間違いではないのだろうけど、大勢の人間がストレスフルな状態で閉じ込められている状況も相当に危険だと思う。精神的にも肉体的にも。

 なんとかしてやれよ~と思いつつ、少し状況を見ていましたが、乗客を降ろす素振りはない。それどころじゃないという警察や駅員の方々。実際、それどころじゃないのでしょう。

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 誰もが「それ以上、どうすることもできない」。最善策を考えて皆が必死に動いている。でもどうしようもない。
 
 事故の当事者以外は、誰もが被害者で誰にも悪意はない。にも関わらず、そこから恐怖の状況って生まれる。いとも簡単に。

 冒頭で、背筋が寒くなったと書いたのは、事故そのものに対してではない。そんな、制御不能なほどの人口を抱えた都会の現状とシステム、あるいはルールに対して。
 
 あらためて、怖い世の中に生きてるんだな~と思うと、背筋が寒くなったのです。

 これは電車に限っての話ではなくて、僕は、30代の10年間、ほとんど電車に乗らなかった時期があります。その間、どこに行くにもクルマかバイクだったので、電車に乗ったのは年間で数えるほどでした。売れっ子タレントか。

 それでも同じような危険と隣合わせです。事故や渋滞ですね、ちょっとしたことで身動きがとれなくなるという意味では同じ。

    当時、世の中で一番嫌いなものが「高速の渋滞」でした。高速渋滞の原因も、大抵は事故の処理で「わずか数十メートルが片側車線になっている」だけなんですよ。それがとてつもない渋滞を引きおこす。そんな「ちょっとしたこと」で‥

 何の準備もなく、突然「監禁」されてしまう可能性があるって、めっちゃ嫌です。

 トイレ問題にしても当事者にとっては決して笑い話じゃないですよね。。いつまでも動かない電車の中や渋滞の高速道路の上で、我慢できない下痢にでも襲われた日にゃ、けっこうな生き地獄です。

 同じく電車ネタでは、先日のニュースで、車内で男女がケンカになり、女が「この人、痴漢!」と嘘をついたことから非常停止ボタンが押され、一時間以上、多くの乗客が駅で足止めをくらったとか。たった二人のほんの些細なケンカから…。誰かが撮影した動画には、怒号をあげる乗客たちの声が入っていた。

 そう「ちょっとしたことで」という部分が怖いのです。どんだけ脆弱なのかと。

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 最後に余談…で、ここまでとは少し違う話になりますが…、
 
 上記の事故の際、多くの人がスマホのカメラで現場を撮影してTwitterなどにアップをしていた。情報共有、災害の場合の掲示板的役割…わかります、それはわかりますが、あの事故現場を写真に撮る、あるいはそれをSNSにアップする感覚は、僕には、理解できないとは言いませんが「理解したくない」。

 僕らはジャーナリストではない。それによって誰が幸せになるのか。それによって誰が傷つくのか。そこまで考慮せずに軽々しくやってはいけないことなんだと思います。本来は。

 本来は、です。
 時代が変わったということ。

 Twitterで著名人同士がケンカをはじめる。サッカー選手の「つぶやき」がここぞとばかりに叩かれまくる。ケンカになるくらいならtweetなんてしなけりゃいいじゃんか、と思うのだけど。いやマジに、有名人や影響力のある人は、Twitterは危険すぎるのでやめたほうがいいと個人的には思います。全然「つぶやき」じゃなくなってるし。