僕は、40年以上、ずーっと勘違いしていたのかも知れません、
「太陽がいっぱいだ。‥最高の気分だ。」
アラン・ドロンの『太陽がいっぱい』の超有名なセリフですが、あれ、ほとんどの人が信じている意味ではなく、本当はまったく違う意味のセリフだった…?というお話。
『太陽がいっぱい』原題:Plein soleil 1960
元ネタは、ネットでたまたま見掛けたブログ。その方のお知り合いのフランス語講師さんの見解では「太陽がいっぱいだ…」は、直訳すると「カンカン照りだ」となり、意訳すると「太陽がまぶしいけど、でも、気分は最高だ」あるいは「太陽が眩しい以外は、最高だ。」であると云う。
つまり、ほとんどの人が思っている「太陽がギラギラしてて、気分最高!」ではなく、
「太陽はウザいけど、でも、気分は最高だよ!」なのだと。
つまり、めっちゃ太陽好きな兄ちゃんだと思ってたひとが、実は太陽嫌いやったんかい!という真逆のサプライズなのです。
そういえば、女性が「ご気分でも?(悪いのですか? )」と聞いたことに対しての答えとして「太陽が眩しいだけ」=「だからご心配なく」と答えたと考えると、会話の流れとしても自然です。
では、見て見ましょう。こちらです↓
映画「太陽がいっぱい」 オリジナル・サウンドトラック盤 Versailles 90M312
僕はフランス語はさっぱりわからないので、聞いても読んでも理解できませんが、どちらにしろ字幕が誤訳だという意味ではなく、脚本家がどう考えて書いたか、俳優がどう考えてしゃべったかの問題ですね。
だから、明確な答えはないのかも。
ただ、僕にはやはり「太陽を眩しがっているだけ」に見えます。
そこで『太陽がいっぱい』をあらためて考察してみると…。
僕は、この映画での『太陽』は「おカネ」「権力」「支配」「抑圧」…の比喩だと思っています。
お金持ちのボンボンでトム(ドロン)にあれこれ指示を出すフィリップ(モーリス・ロネ)にとって、おカネや権力は、好き勝手に生きるための武器であり力。
かたやトムにとっては、カネも権力も「ウザい存在。自分を痛めつけるもの」でしかない。「でも欲しい」と云う妬みもコミで。
劇中、フィリップの悪戯によって、ヨットで海に放り出されたトムは、ギラギラの紫外線を受けて背中に火傷を負います。その間、フィリップは太陽を気持ち良く浴びながら、恋人・マルジュとイチャイチャしています。
おカネや権力は、万人に関わってくるものだけど、立場と状況によって、快楽を与えることもあれば、苦しみを与えることもある。ここでの太陽と同じです。
であれば「トムが太陽を嫌っている」という解釈も充分に納得できる。
トムにとって太陽は、自分を虐げたフィリップを想起させるもの。ウザいんだけど、でも今は、それを自分が手に入れているという満足感。
それが「(でも)気分は最高だ」に繋がる。
そう考えると、上記の説が、とてもしっくり来ます。むしろ、もうそっちが正しいとしか思えません。
映画って面白い。
そして『太陽がいっぱい』はやはり名作です。
▼映画ブログに書いた記事です。よろしければ。