その昔、人間は、天に届く道を作ろうと「バベルの塔」の建設を始めたんだってさ。
物凄く高くてね、従業員が生活できるように途中に街があるような塔。随分長い間、大地を踏むことなく作業するんだ、みんな。
それが完成したら、天まで登れるんだから、すごいよね。
で、それに怒った神さまがね、「そんな偉そうなことを考えるのは、人類が共通言語を使って結束しているからだ。」とか言って、二度とそんな愚かな事をしないようにと、人類の言語と地域をバラバラに分けてしまったんだって。つまり、それが今の国であり言葉なんだね、へー。
えっとなに?つまり、人類同士が争うようにと、足の引っ張り合いをするようにと、たくさんの言葉と国に分けたってことね。
繰り返すよ。人類同志が争うのは、国と言語が分かれてるからってことね。
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ところで、オリンピックというものが大嫌いなんだ。2020年なんて想像しただけでゾっとするのよ。
スポーツを観るのは好きだから、頑張ってる選手は応援するよ。でも、ニッポンガンバレ、とか、日本やったね!なんてノリがとても気持ち悪いのです。
どうして?って聞かれるとね、答えにくいのよ。ナショナリズムなんて言葉は僕でも知ってるよ。でも、意味が難しすぎてわからないんだ。ちょっと言いにくいしね、噛んじゃいそうで。
それにオリンピックはみんな楽しみに見てるから、嫌いとか言うと、また難しい奴だとか思われそうでさ、世間に盛り上がりに背を向けてひねくれてるように思われそうで、なかなか勇気いるんよ、オリンピック嫌いとか言うの。でも嫌いなんだ。
『メッセージ』って映画を観てね。面白かったから原作の『あなたの人生の物語』って文庫本を買ったんだ。
最初に書いたバベルの塔のお話は、旧約聖書に出てくる有名なお話らしいんだけど、テッド・チャンって人が書いたその短編集にも「バビロンの塔」という小説があるのね、ネタバレになるからオチは書かないけど、バベルの塔のお話に、さらに人生教訓みたいな比喩がオチに加わっているお話。
『メッセージ』って映画(&原作「あなたの人生の物語」)では、異星人が「人類を救うために」ある言語を伝えにくるんだ。この言語を使え、共通言語を使えってアドバイスだね、それが人類を救う方法なんだって。
人類がみんな共通言語で話して、共通の概念を持てば、未来の核戦争が回避されたりとか?人類が争いをやめて相互理解するには、みんなが「同じひとつの国」になる必要があるってこと?かも知れないね。
夢のようなお話だけどね。そりゃ現実味は薄いけどね。でも、理屈はわかる気はするのね。現実味が薄かろうが、それが正しいならそっちへ向かうべきなのね。何百年かかるか知らないけどね。
そこで、スポーツの祭典があってね、スポーツだから、勝った負けたはいいのね、勝負を争うのが面白いんだから。それはいいんだけど、なんだか物凄く国vs国を強調してるんよね。スポーツなんだから、別に、○○選手頑張れでいいよね?ニッポンガンバレじゃなくていいよね?
ものすごく、さっきの話と逆行してるように思うのね。
知らないけど。
うん。