神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

【雑文】神威組、十三奮闘記【atシアターセブン】

 2018年から「最も早く撮れる方法」で映画を作り「最も早く劇場公開する」方針で、ここまで走ってきました。その加速度から来るGはそれなりに強く、カラダがはち切れそうになるけども。

 神威映画は、通常の自主製作映画が辿る道筋とは少し違うタイムスケジュールで進んでいるのだと思います。映画完成後、国内外の映画祭をさておいて、一直線に劇場公開を目指すレールです。その理由を書くと長くなるので別の機会にしますが.

 今の神威組における「集客事情」もまた「加速度から来るG」のひとつかも知れません。

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 2020年11月21日~24日、四日間の大阪、十三シアターセブンでの公開が終わった。

 神威組には自分も含め大阪出身のメンバーも多く、気分は「凱旋」なのですが、やはり普段の活動拠点が東京のため集客面ではアウェーだ。加えて、ご存知の通りコロナ第3波の直撃。一週間前のチケット予約開始から胃が痛む日々が続きました。数時間ごとに「予約座席表」を確認しながら、一向に埋まらない空席に眩暈が。

 こういう局面でのマンパワーの少なさは、日ごろから必要最小限の人間で動く神威組のやり方の副作用でもある。それも自分が選んだ道だ。

 他になにか手はないか…をあれこれ考えながら、大阪上映時にはいつもお世話になる「全面協力スタッフ」伊井たこすけさんに状況を報告しながら、二人で頭を抱えていました。たこすけさんも地元の知り合いに声をかけてもらっているが、コロナ渦もあり先方からの返事は芳しくないらしい。

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 主催の自主公演ならいいのです。赤字を覚悟して「仕方ない」と開き直ればいいだけのこと。ただ、ここまで来るには、大阪での公開を実現するまでには、日数、回数、チケット単価、集客見込み…すべて含めて、それなりに長い時間をかけてのうちあわせと考証があり、最終的には、こちらの熱意も加味してくれたシアターセブンさんの「英断」があるわけです。貴重な11月の三連休を含む四日間の日程を頂いただけでもプレッシャーなのに、なにより、僕が昨年からずっと言い続けていた唯一の希望「ラインナップ上映(上映会ではなく、劇場公開扱い)」も叶えてくれた恩義。その期待を裏切る結果は避けたい。「なんとしても盛況に」…SNSに何度も書いた一文はそういう想い。

 ここから先の結果は、すでに自分だけが責任を負えばいい質のモノではないということ。誰かに迷惑をかけることになる。だから必死になる。 

「なにがなんでも」

 昨年から、大阪上映が神威組の士気を高める絶好の機会になるひとつの理由は、映画作りの長い道程の中で、完成した映画をこの土俵に上げるまでに、多くの人たちのお力添えと応援があること。撮影期間中の状況しか知らない俳優陣に、神威がその他の時間に何をしているかも含め、その一端を感じてもらえる機会だからです。

 「これだけの人の強い想いと協力があって、やっと実現できることなんだ」ということ。それを俳優陣にも感じてもらう機会。

 実現するということは「誰かの期待」がそこにあるということ。しかも、ただの応援ではなく、現実問題としてのリスクも背負ったうえでの決断とお力添え。興行収益もしかり、この映画を「選んだ」「推した」立場としての諸々のリスクもあるのだと思います。

 そう考えると、一番の当事者である自分が、かっこつけてスマートに構えている場合じゃない。がむしゃらに出来る限りの努力をするしか選択肢がない。

 2019年11月「ハートボイルド・フィクション」大阪プレミア。大阪まで道連れとなった神威組コアメンバー(坂本三成、萩田博之。蜂谷英昭)が、口々に「来て良かった。」と言ってくれたのも、そんな諸々を肌身で感じてくれたからだと思います。今年の大阪も、同じような絶好の機会になってくれたら…そんな期待を抱きつつ、決死の告知を続けていました。

 迎えた大阪初日。わずか二回目なのにすっかりホーム感漂うシアターセブン入り。
 
 神威組大阪支部応援団長の伊井たこすけさん&みゆきさん夫妻。司会の長嶺英貴さん。お世話になったシアターセブンの福住さん。客席には、昨年から引き続き観に来てくれたファンの方も。前年と同じ顔触れがそこにいた。 

 みっちゃん(坂本三成)は、劇場の外にチラシを持ち出し、劇場のラインナップ表を眺めている人に声をかけチラシを配っていた。はっちゃん(蜂谷英昭)やハギー(萩田博之)と自然発生的に池袋の作戦会議をしている横で、中川ミコと緒方夏生は自分のツイキャスで池袋の宣伝を開始している。萩原さん、筒井さん、望月さんは元々、何も言わなくても、自然にかつ無理なく、作品に愛情と協力を注いでくれるプロフェッショナルだ。唯一の大阪在住、香月あやは、地元ゆえの大変さ(お客様への挨拶まわり)に奔走してくれる。

 長い孤独な戦いから、また全員が一丸となる「お祭り」を迎えた。この瞬間のために、この瞬間を迎えたくて生きている。

 

 結果はまずます「盛況」と言えた。毎回超満員…とはいかなかったけど、満席の60%の入り…は、コロナ渦の状況も加味して、ギリギリ及第点に届くかどうかという線。もちろん、まだまだ力不足で次回への重要な課題も多く残った。

 次回への課題…それも長くなるので別の機会に。

 「必ずまたここに戻ってきます。」

 昨年の舞台上からの約束を果たせたことが嬉しかった。皆さまの暖かい気持ちに支えられ、中には何度もリピートで通ってくれる方もいた。

 初日のエンドクレジット。舞台挨拶登壇のために舞台袖で待機をしている時、瞬時に涙腺が崩壊しかけたことがありました。エンドロールが終わる少し前、「脚本・監督・撮影・編集 神威杏次」のクレジットのところで拍手をいただいたのです。そのタイミングでの拍手は初めての経験でした。すぐに登壇を控えているので気合いで涙腺を止めましたが、危なかったです。

 2021年1月30日~2月5日。今度は都心・池袋。ツアーファイナルの大一番。

 これを書いている今は2020年12月9日、初日まで50日ほど。すでに劇場のロビーに貼ってあるポスター、当たり前のことですが、誰かが貼ってくれたわけです。僕らの知らない誰かが。窓口では、劇場スタッフさんが前売り券を販売してくれています。多くの方が、すでに「スモーキー・アンド・ビター」に力を貸してくれているのです。僕らから見えない場所で。

 そこに想いを馳せる必要がある。

 神威組『スモーキー・アンド・ビター』首都決戦、池袋シネマ・ロサへ向かいます。

 

movie.kamuin.com