神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

すべては大阪から始まった。

  2019年11月10日、大阪シアターセブン「ハートボイルドフィクション-神威杏次大阪凱旋上映会-」。

   神威組初長編映画『ハートボイルド・フィクション』。当時、自分にあったのは、ただ「撮りたい」という想いと50万円の持ち出し製作費だけ。劇場公開も映画祭がどうこうなんて話も、なにもなかった。身内のメンバーでさえ「神威が何をしたいのか」が、まだまだ疑心暗鬼だったと思います。それは「こうこうこうしていくから!」なんて大風呂敷が嫌いで、実際に確信が持てるまでは周りにもあまり話さないという、自分の性格のせいですが。

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 そんな稚拙な長編映画が、関西ミニシアターのメッカ、シアターセブンでの上映を果たした陰には、映画評論家・長嶺英貴さんと、当時、望月祐多さんからのお声がけで尼崎の特撮イベントに呼んでいただいた際に知り合った、伊井たこすけさん、お二人の尽力があった。

※望月さんの「ゆう」の字の正式表記は「示」に「右」。

 知名度も評判もなにもない。海のものとも山のものともわからない映画を、劇場に「上映リクエスト」のような形で直談判に行っていただき「集客は(地元である)自分たちがなんとかするから」とまで。

 結果、一日限り(昼夜2回)のイベント上映として上映を決めて頂いた。

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 生まれと育ちが劇場のある十三を含む阪急沿線だった神威。個人的な気持ちはめっちゃ凱旋だったので、あえて「凱旋上映」と銘打ったものの、実際には完全なアウェーである。長嶺さんとたこすけさんが、主に、春に参加させていただいた特撮イベントに来てくれたファンの人たちにお声がけを進めてくれて、2回の上映を盛況に終えることができた。

 一緒に大阪まで乗り込んでくれた、坂本三成、萩田博之、蜂谷英昭。中川ミコも直前まで本当に行きたがってたのだけど、スケジュールの都合で涙を飲んだ。

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 長嶺さんは舞台挨拶の司会をかって出ていただき、伊井たこすけさんは奥様のみゆきさんともども、わざわざスタッフパスまで自前で作成して首にかけ、会場整理とお客様お迎えに奔走してくれている。

  神威組のコアメンバーたちも「一日限りの上映を果たすために。これだけの人の熱意と労力が必要。」という事実を目の当たりにしたことで、「来てよかった」と口々に言ってくれた。

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 映画を観ていただいた暖かいお客様の言葉。関係者全員の熱意が昇華したスクリーンでの「ハートボイルド・フィクション」。

 それは確実に「神威組の本当の船出」だった。

 「神威組2020、あります。」「来年、必ずまたここに帰ってきます!」壇上からの宣言で、次の長編映画『スモーキー・アンド・ビター』が始動した日でもあった。


 2022年3月19日。入魂の新作『ムーンライト・ダイナー』

 ここからまた「なにか」が始まる予感を胸に…

 神威組、シアターセブン凱旋。