神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

上映会あとがき -映画『マイ・ガール』『アンナ-Anna-』-

 2018年11月17日(土)秋葉原ハンドレッドスクエア倶楽部にて。

 2018年に製作した短編映画2本のプレミア上映会を行いました。saii監督作2本と合わせて、合計4本一挙上映のイベント。

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 まずはなにより、当日、舞台挨拶に集結してくれたキャストたち、観に来てくれた皆さま…、そこにいる全員がイベントを楽しんでくれた印象で、映画の監督として、イベントのプロデューサーという立場として、本当にホッとしました。まずは大成功といえる結果だと思います。あ、利益はほとんど出ませんがねw

 春に撮影した『マイ・ガール』と、夏の『アンナ-Anna-』

 作品は、作っただけでは意味はなく、たくさんの方に観ていただいて初めて「完成」となります。撮影や編集はとっくに終わっていたとしても、上映の日が「本番」。本番を終えて、観ていただいた感想などを聞いたり、数か月ぶりに集まった仲間たちと乾杯をする…そんな一連の出来事を通過してようやく完成する。

 だから、なんとしてでも上映会をやる必要があった。そして、小さな試写室や、小さなカフェでの上映会…みたいな形には(少なくとも今回は)したくなかった。イベント会場で、それなりに「カッコつけて」やりたいんだ。

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 上映会も自主開催ですから、資金・気力・体力・人望・信用…どれかひとつでも欠落した時点で、作品は未完成のまま、いとも簡単に「お蔵入り」になってしまう。それは絶対に避けたかった。なんとしてでも「マイ・ガール」と「アンナ-Anna-」をそこまでたどり着かせたかった。そして、やるからには盛況にしなければ、当日集まってくれるであろう俳優たちに申し訳ない。彼らに恥をかかせたくないという意地。いや、それ以前に、僕が恥をかきたくない。

 実をいうと、俳優陣の上映会参加は義務ではなく、自由参加・自由行動にしていました。だから、極端な話、当日、キャストが誰も来てくれないことだってありえた。他の仕事のスケジュールもあるだろうし。

 皆に、疑心暗鬼な部分は少なからずあったと思います。

 自動的に人が集まる場所での上映ではない、どこかのイベントへの参加上映ではない、たくさんの監督の作品を並べるイベントでもない。ほぼ単独に近い主催イベント。そもそも生のライブではない映画の上映会は集客的に弱いし。どんな風景になるのかの想像がつきにくい。果たして盛り上がるのか、観客は入るのか?自分たちも観客も、楽しめるのか?…疑心暗鬼にならざるを得ないだけに、僕が「大丈夫」「絶対に成功する」と信じ続けないと誰もいなくなる。

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 そして、宣伝・集客は主催の義務。だから必死に広報しました。広報部がいるわけでもないので、演劇と同じく、自分や俳優陣がまずは知り合いから声掛けをしていく方式になるのですが、最終的には個々の宣伝が決め手になるとしても、まず「中川ミコ主演映画が公開になるぜ」「平野尚美がヒロインの映画だぜ」「面白いんだぜ」などと…つまり、映画や上映会の存在や、商品である映画の面白さを世間にアピールするはプロデューサーの仕事。

 僕は、映画の力を信じているので長期的には何の心配もしていません。必ず、映画は自分たちの財産として残る。今回のようなインディーズ短編映画でもね。ただ、それと、目の前の上映会からどれだけの充実感を得られるかは別問題。そこには正直、確信がなかった。だから必死。なんとしてでも…と、SNSでウザがられることも承知のうえで、必死に盛り上げようとしました。

 とにかく「このイベントを成功させたい」という僕の気持ちを、関係者にもお客様にも伝えること。それしか武器はないから。恥も外聞もない。

 とか言いつつ、実のところ、すべての原動力は、俳優陣や関係者に「神威の映画に出て(関わって)良かった」「神威を信じて良かった」と思ってもらいたいから。そう思ってもらわなきゃ僕の「名がすたる」からですがね。もう意地。

 フタを開けてみれば、当日、神威組キャストほぼ全員が朝イチから集まってくれて、会場設営、お客様誘導、もちろん舞台挨拶、終了後の撤去まで手伝ってくれました。saii組からもキャストが参加してくれた。今回の主催団体である制作チームthanKSの相方である佐々木哲平もイベント進行に奔走してくれた。しばらくの間、孤独な戦いが続いていたもので、この当日の光景には内心、感動していました。皆に助けられてイベントが円滑に廻った。

 控室では、俳優陣が口々に「楽しい」と言ってくれて、僕も本当に楽しかった。映画の上映会&舞台挨拶ってこんなに楽しいんだ!と、みんなで想いを共有できたことが嬉しかった。

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 最終回の舞台挨拶に出る直前、アンナのエンディング曲が流れる中、舞台袖で待機している時、何人かとキャストと眼が合いました。恥ずかしいからすぐに目をそらしましたが。その時の皆の笑顔に報われた気がした。その場でありがとうを言いたかったけど、言ったら泣いてしまいそうだったのでやめた。
 
 自慢の俳優陣と一緒に並ぶ舞台挨拶は誇らしかった。

「決まってる?…そりゃそうだよ、俺が選んだメンツだから。俺を選んでくれた仲間たちだから。素敵で当り前さ、へへん!」て感じw

 僕らが登壇してしまうと、他にスタッフもいない所帯なので、舞台挨拶の写真を「どんどん撮ってください」とお客様にお願いしたのですが、みなさん、こぞってスマホカメラを向けてくれて…お客様も温かかった。

 僕が大事に思っている人たち、もしかしたら、僕を大事に思ってくれている人たちが、舞台上と客席に、一同に会するイベントになった。みんなと笑顔で会える日になった。

 この日、会場で会えた人たちの顔は、きっと一生忘れない。なにかで必ず恩返しをするのでお待ちくださいw

 あらためて、自分がなんのために今こんな事をしているのか…に気がついた。

 「こんな日を迎えたかったんだ…。」

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