神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

考えない。

  撮影10日前。ここ数か月で仮止めしていた数十本のネジを、最終調整しながら一本一本FIXしていく作業。正直言って、かなり大変でございます。

 会社みたいに動く人間がたくさんいたり、使えるお金や日時がもっとあればどんなに楽かと思うけど、ないものはないので考えない。そもそも、なんで全部ひとりでやってんのよと思われるかも知れませんが、自分が三人いたらめちゃくちゃ楽ですが、こんな大きい人、何人もいないので考えない。それが今のスタイルなので。考えない。

 追加のロケハン、ここ何度かのリハーサルと撮影プラン(絵コンテ)作成によって、シーンごとの撮影所要時間がさらに読めてくるから、2月に一旦作った香盤表の1シーン1シーンをアタマの中でシュミレーションして時間配分を再考。あきらかに時間が足りない箇所は、ロケ場所の時間延長を申し出た。どうしても伸ばせないところは逆に撮影プランを妥協する。で、俳優入り時間の調整、移動手段の再考、車を使う場所は現地パーキングの位置や料金の確認。もちろん食事の段取り、各ロケ地のトイレの場所…。

 意外に妥協できないのが小道具。クオリティが妥協できないのではない、高価なモノは買えないし、売ってないものはどうしようもないから、質や作りは簡単に妥協するのだけど、そもそも「そんなカット、撮らなくてもいいんじゃない?」「わざわざワンカットのために買うの?」と言われそうなモノでも、使いたくなったモノはすぐにAmazonでポチッ!勝手に手が動く。室内の単なる家具や飾りであるなら不要だけど、その存在がメッセージやメタファーに成りえる小道具であれば、もはや出演者に等しい。ワンシーンワンカットでも来てもらう必要がある。

 僕は大金持ちではないので、どんどん出ていく出費も冷や汗が出るけど、考えない。ほんと、撮影のたびに、どんだけAmazon好きなのよってくらいAmazonで買い物することになる。全部Amazonにしておけば領収書はいつでも出せるし購入履歴を簡単に管理できるという理由もあり。そんな話はどうでもいい。

 現場に入ったら、俳優陣がある程度は助けてくれるだろうけど、クランクインまでは完全なワンオペ制作。だから大変なわけですが、考えない。

 他に考えるべきことが山ほどあるので、余計なことは考えない。

 さてと、そんな途方もなく孤独な作業に、クランクインからは俳優陣が雪崩れこんでくる。

 さぁ、賑やかになるぞ。どんとこい。

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