神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

悪魔

『企業は法人という人格を与えられ「人」として 扱われます。じゃあ、企業をひとりの人間として 精神分析したらどうなるか?

 症状=「極端に自己中心的で他者への思いやりがない。」

    「慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無い。」

    「自分の行動に責任が取れない。」…等…

 結論=疑うことなき、完全なサイコパス人格障害)』

 

映画「コーポレーション」のフック(売り文句)です。

 

映画と言っても内容は完全なドキュメンタリーで、『社会が、企業に「法人」という人格を与え優遇した結果、社会全体が企業に乗っ取られてしまった。』と。環境汚染問題等、企業のあらゆる『罪』を延々と叫弾する。

 

「わざわざ川を汚したいと思っている人間はいない。しかし、実際には、法人という人格の意思により、日々、川に廃棄物が流され続けている。」

 

法人は、利益を上げないと倒産という「死」を迎える。だから、社会貢献など二の次=利益至上主義になる。「利益のためなら何をしてもいいのか?」と問い詰めたところで、経営者は開き直って「そうだ。」と答えるだろう。それが企業の本音だ。

 

資本主義が崩壊でもしないことには変わらないだろう。従業員は、それが会社の方針なら従わなければ職を失う。しかし、法人に責任を転嫁しているだけで、実際に手を下しているのは紛れもない人間だ。

 

10数年前、映画脚本の中にこんなセリフを書いた。

 

「悪魔はなにもしない。ただ、ささやきかけるだけ。ささやきに惑わされて手を汚すのは、いつも愚かな人間たち。」

 

2008年6月8日、秋葉原を襲った悲劇。犯人は、派遣会社に登録して働く労働者だったらしい。弁護団は例によって精神鑑定を要求し罪の軽減をはかるのか?

 

彼にささやきかけた「悪魔」がいたはずだ。

 

悪魔は、得てして「正義」の仮面を被っている。いや、仮面を被っている事にさえ気づかない。仮面の下の本当の顔、悪魔の顔に、自分で気づいていないからタチが悪い。