神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

『映画を作りました』の巻

 さて、もろもろ一段落してきたところで…

『映画を作りました』の巻。

 予算なんてものはありません全額ポケットマネー、自分で1から10まで走り回って作った、手作りインディーズ映画です。

 一回の飲み代で消える程度の謝礼で参加してくれた俳優たちに感謝しつつ、自宅のメモリー4GBのノートパソコンの「隙あらばフリーズ」攻撃をかわしながら組み立てた、稚拙な短編映画です。

 撮影に入る前の準備…製作・制作関係の話だけでも、書き始めたらブログ3回くらい書けますが、それはまたの機会に置いといて…。

 たった2日間で一気に撮った素材を、本来、まったく専門分野でもなんでもない、編集、色彩調整、音の調整…なんてテクニカルな部分を、ほぼ勘と自分なりのセンスだけを頼りにあれこれと…。レンダリングのたびに違う場所に入る「ブチッ」という異音を消すためだけに半日費やしたり。自分でも「まさに手作りだな、これ。」と実感します。

 それでも、僕が映画を撮りたくて、大手映画会社にノーアポ突撃していた20年前に比べたら、撮りたければ自分で撮れてしまうという今の時代は恵まれている。

 唯一、МA(整音。セリフを際立てつつ、余計な環境音を軽減したり、クチャッというツバの音=リップノイズを消したりの作業)だけは、さすがに自分でやったら何年かかるかわからないので、そこだけはプロの業者さんに頼むことになります。

 ただ、そんなことは実は二の次で、もっと大事なことは、物語が「面白いかどうか」。僕より「きれいな絵」を撮れる人は世の中に何万人もいるし、そもそも映画は綺麗な絵を見せるためのものではなく、言いたい事(テーマ)や想いを伝えるためのモノ。

 クオリティやバジェットの壁を破るのは「脚本の力」と「映画愛」。そこにしか、おそらくインディーズの勝機がないことは、かの「カメラをなんとか」の例を見てもわかりますが。たぶんそこは大丈夫です。加えるなら「エッジの角度をどれくらいにするか」の判断でしょうか。どこまで鋭くするか、という。

 いや、いまさら、大きな壁を破ってやろう…なんて意気込みではないですが。ただただ、自分の存在証明のため、自分という存在をカタチにして残すためにやってるだけですがね。

 同じインディーズでも、小劇場演劇のほうが強い。俳優はライブで充実感を味わいたいから絶対的赤字でも何日も稽古に通って頑張る。稽古を通じて成長できるという喜びもある。お客さんも生を見たがる。集客も見込めるから予算も立てられる。実は主催はさほどのリスクがない。バンドを集めてやるライブハウスのイベントと同じですね。チケットノルマで制作費をペイできたりもする。こまごま動いてくれる人数も多い。羨ましいくらい。

 対して(インディーズの)映画はいろいろきついのは確かですが…。

 ただ、時が経とうが、人間が朽ち果てようが、いつまでも残るのが映画の強みです。いつでも「そこ」に戻れるのが映画の強さです。本当の強みが活きてくるのは時が経ってから。

 映画は、これから時間をかけて、その力を発揮してくれるはずです。

 関わってくれた人たちの…10年後にも20年後にも「アンナ」は生き続けます。「マイ・ガール」もきっと、寸分変わらない姿でそこに居るはずです。そのとき、そこに僕がいるかどうかは約束できませんが、映画はそこに在ります。

 みんなの未来に祝杯を。

 さて、「(ひさしぶりに)ちょっと走ってみよう」と決めて、走るからにはフライング気味に全力疾走しなければ意味がないことは経験則でわかっているので、かといってすべてを投げ出して走れるほどの若さはないけれど、今できる範囲で全力で走ってきて、そんなこんなの集大成。まずは御披露目のお祭り‥「本番」である上映会まで走り抜けます。

movie.kamuin.com

  実をいうと、この、自分にとっての一大イベントの↑と並行して、年内にもうひとつ、それなりに大変なミッションがあるのですが…それはまた追々。