神威杏次 official blog

【俳優・映画監督・脚本家 カムイキョウジのモノローグ】

ハードボイルドってなに?ってお話

 神威が作る作品はハードボイルドです。

 すっかりそういうイメージになっているし、実際その通りです。ただ、そもそもハードボイルドというものを間違って認識されている方も多く、ただカッコつけて銃を撃ちまくったり、悪者をやっつける…みたいな。

 まったくそうではなく…ハードボイルドとは…もっと内面的な、人間の「弱さ」「愚かさ」それゆえの「可愛さ」「強がり」「やせ我慢」「自己犠牲」…平たくまとめるなら「人間のおちゃめさ」を描くジャンルなのです。

…なんてことを語る回。

ハードボイルド(英語:hardboiled)は、文芸用語としては、暴力的・反道徳的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいう。アーネスト・ヘミングウェイの作風などが一例である。(Wikipedia)

 このwikiの説明内では「批判を加えず」という部分がポイント。僕が、世の中で最も嫌いなものは「道徳を盾にした偽善」なのですが、批判を加えないということは「道徳を持ち出さない」という意味だ。そこ大きくうなずくところ。

 例えば「罪を憎んで人を憎まず」はハードボイルドなのです。

 「人間は愚かな動物である」という疑いようのない事実が大前提だと理解していれば、大抵のことは許せる。増してや、それが一度は惚れた相手だったり、大切な思い出を共有している人であれば尚更…。

 真実はひとつではない…と云うことを理解していれば、自分にとっての真実がたとえ曲げられようと、相手の真実を尊重できるのです。しょーがねーなーと思いながらも。

 と説明すれば、ヤ●ザ映画や、いろいろあるヴァイオレンス映画や、勧善懲悪のドンパチ物は「ハードボイルドではない」と理解いただけるかと。それらは「許さない」ですから。悪を、あるいは善悪関係なしに、自分の敵を。

 ちなみに、テレビのワイドショーを見て、道徳を盾にした偽善を真に受けて、誰かに批判されている誰かをこぞって叩くなんてことは、ハードボイルドの真逆の行為です。そんなことしてるヒマも興味もないのです、ハードボイルドさんは。

 ハードボイルドは、道徳なんてものに興味がないのです。他人の罪にも興味がないのです。そんなことより「この人はどうしてこんなに哀しい目をしているのだろう」なんてことを思考することなのです。批判を加えずに。

 まとめるなら「ただただ愛しい想いで人間を見ること」でしょうか。

 ハードボイルドについて…もっと視点を変えれば書くことは山ほどありますが、長くなるのでこの辺で。

何を言っているのかわからない…という方は、ぜひ、映画を観に来てください。

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